ミスハタリの秋田旅 1 上野駅13番ホーム

【2008年4月18日〜4月22日 ハタリ、列車で秋田を旅する】

東京は朝から春の嵐。重くにじんだ雨空を苦々しく見上げつつ、明日の晴天を信じて旅支度をする夕暮れ。上野発の夜行列車「寝台特急あけぼの」に揺られてひとり北国へ向かうのです。「角館のしだれ桜が見たい」という母親との「春の旅行」。札幌からやってくる母と秋田で合流する前に、まずはひとり「旅」。ふだん貧乏旅行ばかりの青春18キッパーにとって、エリア内の新幹線や特急に乗り放題という周遊券(「秋田・大館フリーきっぷ」)はカッコウのおもちゃだ。山間を走るローカル線「秋田内陸縦貫鉄道」や日本海沿いに走る五能線リゾートしらかみ」、男鹿半島への盲腸線男鹿なまはげライン」。訪れる先は角館のほか、田沢湖駒ヶ岳温泉や乳頭温泉郷の湯にだって浸かるのだ。もりだくさんな冒険なのだ。

小雨止まない町を出て上野へ。アメ横の「大統領」で出発前の見送り酒をいただく。ここの馬のもつ煮はウマいよね。
 

上野駅へ。東京都内のどこの駅とも似ていない唯一無二の駅。

 

一階13番ホームは、新旧さまざまな寝台列車が発着する由緒正しきホーム。夕方なら「カシオペア」、宵の口なら「北斗星」、呑んだあとの千鳥足で訪れれば「北陸」や「能登」という夜行列車に会える。端っこにあるホームの様子は、十年前に「北斗星」に乗りこんだときはもちろん、十五年前に中学生のわたしがひとり「北斗星」から降り立ったときと、ほとんど様子が変わっていないように感じた。上野駅の一階には片側が行き止まりの「始発」ホームが数本並んでいる。天井が高くて東京駅や新宿駅にはない旅立ちの雰囲気。昭和のなつかしさを残し、列車旅が一大イベントであることを感じさせてくれるのがうれしい。並びの常磐線のホームにある売店では今もなお冷凍みかんを売っているだろうか。

21:20すぎに「あけぼの」がバックで入線。真ん中の扉を開けて車掌が線路を確認している。久しく見ていなかったブルートレインダイヤ改正のたびに聞いてきた、数々の夜行列車廃止のニュースに悲しんでばかりもいられない。そんなうわさをよそに、今夜も「あけぼの」は北に向かって走る。その姿は凛としているじゃないか。

 

上野発の夜行列車、北国に向かう青い夜がはじまります。

 



【ミスハタリの秋田旅 20080418-22】
1 上野駅13番ホーム 2 「あけぼの」の青い夜 3 キュートな秋田内陸縦貫鉄道 4 五能線センチメンタル 5 男鹿なまはげライン 6 山荘「駒ヶ岳温泉」 7 青空と桜、田沢湖と角館 8 角館「田町武家屋敷ホテル」と桜旅終章