八月札幌夏仕舞 4 小樽手宮「小樽市総合博物館」

そんなわけでいまいち煮え切らない「山線」のモヤモヤを晴らすべく、小樽で下車して手宮の「小樽市総合博物館」の本館へ。交通記念館の施設と、博物館と科学技術館が合体してできた施設なのだけれども、広い屋外展示場にはたくさんの保存車両や、線路、転車台、館内のさまざまな展示などがあり、鉄道の聖地ならではの充実ぶりがうれしい。なんていったって、ここは、北海道鉄道の発祥の地、手宮線の手宮駅の構内敷地なのだ。

いまはもちろん廃線となった手宮線は、北海道ではじめて開通した石炭輸送の鉄道。静内から石炭を運び、小樽の港まで輸送していた由緒ある路線なのだ。調べてみると、一九八五年に貨物線が廃線になっていた。小樽の町中を横断する線路も道ごとの踏切もそのまま残されている、生きた「廃線」といえるかもしれない。小樽駅から運河へと行こうとするときに、その細い単線跡の佇まいに歴史を感じることでしょう。

 

入場料四百円。手宮口から入るとまず屋外展示場。北海道規模での大胆な展示に圧倒される。大雑把に感じられるほどに置かれた車両の数々。ほぼ静態保存のようだけれど、仕事の細かいボランティアによる塗装や整備がされ、説明図の展示などもあり、車両内に入ることができるのがうれしい。

 
 
 
 

北海道らしい貨物車や石炭車、キハ天国なのもうれしい。青い車体もなつかしいなあ。むかしの札幌駅には青い列車が多かった記憶がある。そうだ、稚内まで行く列車だってあるのだ。「スハフ」「オハ」「キシ」「キハユニ」、いろいろあるよ。いったい何のことだかわかるかな?


屋外の線路の上を、由緒正しきレトロな蒸気機関車「アイアンホース号」が時間ごとに走っているという。うー、乗りたかった!

屋内の展示もすばらしい。吹き抜けになっている広間に鎮座しているのが、蒸気機関車「しづか号」。美しいったらないね。

展示も細やかで、特に手宮駅から小樽港までのジオラマはものすごく凝っていて、アナウンスも丁寧で、ずっとへばりついて見てしまった。

 

それから気に入ったのは、さまざまな蒸気機関車の模型が車庫に入っていて、知りたい種類のボタンを押すと、その蒸気機関車がスポットライトに照らされながら車庫から出てきて、転車台の上で回ってみせてから車庫に戻っていくという、まるでファッションショウのような展示。D51ならこの曲、C57ならこれ、というように、それぞれ登場する時の音楽も違うのも憎い。これも、ひとりでじーっと何度もボタンを押してしまった。

北海道を訪れるとかなりの確率でついてくる「小樽観光」。運河も北一硝子もお寿司もいいけれど、ちょいと手宮まで足をのばしてみませんか。この博物館には、細やかなセンスとボランティアの尽力、そして北海道の大雑把な迫力があって、鉄道にさほど思い入れがなくても相当に楽しめることと思います。あ、もちろん今回もハタリはひとりではしゃいでいました。

【小樽市総合博物館】 本館:北海道小樽市手宮1丁目3番6号 0134-33-2523



【ミスハタリの 八月札幌夏仕舞 2008/08/28-31】
1 序:おみやげと猫のこと 2 北の良心「キコキコ商店」 3 函館本線「山線」と昆布駅 4 小樽手宮「小樽市総合博物館」 5 札幌「モエレ沼公園」