ミスハタリの春陽南風旅 1 かしましディープ那覇

「あの子に会いに、沖縄に行こうか」

そんなおしゃべりが出たのは、二月初旬の雨の夕暮れのこと。モモちゃんとわたしはハタリハウスでお茶をのんでいました。わたしたちは「ムー部」の部員だから、そろそろどこかに行かなくてはならなかったのです。ムー部というのは平たく言えば女子旅行部で、これまで「四人用テントに十人宿泊、苗場メタモルフォーゼ(いつだったっけ?)」や「深夜バスで行く京都一泊三日、京都駅地下街でべろべろになるまで呑む→☆2004年3月21日」や「那覇&名護三泊四日、一泊千円のドミトリーで酒盛り&大型台風直撃で帰りは欠航(2004年9月)」や「センスオブワンダー山中湖一泊二日、民宿の隣室からやかましいとしかられる→☆2007年9月23日★2007年9月24日)」など、妙齢女子がおとなげない方法でやけにアクティヴな旅をする部活なのです。

旅の女神の笑みを受け、午前七時に品川駅でモモちゃんと落ち合えば、ムー部の遠征がはじまります。いつもひとり旅のハタリですが、ゆかいな友人との凸凹旅行も好き。期待通りの凸凹はさっそく、空港地下でのんびりコーヒーを飲んでいるうちに搭乗手続き〆切となって係員にしかられて荷物をかついで走る始末に。飛行機は低気圧の厚い雲をぐらぐらと揺れながら抜けて、十一時半すぎに那覇空港着。雨が降っていて肌寒い日。

まずは天井が高いすてきハウスへ。紅茶をのみながら高校時代の同級生ジョスと再会のおしゃべりを楽しみます。ジョスは渋さ欧州旅のスイス・ポスキアーヴォ滞在中にも、ひとり旅のとちゅうでふらっとやって来た、国境を感じさせないフットワークの軽い女の子。英語だってぺらぺらで美人という自慢の才媛です。おしゃべりのあとには、この旅行のファースト・沖縄そば。軟骨がトロトロに溶けたテビチそば。ヨモギの葉っぱをたくさん入れて食べるんですって。おいしいなあ。

食後にいったんジョスと別れてバスに乗って那覇市街へ。雨は上がったけれど肌寒い日。まずは今日の宿、ナハナホテルにチェックイン。地下にあるスパでのんびりと茹であがったら、しばしベッドでうたた寝

午後七時半にジョスがホテルまで迎えに来て、那覇の夜の散歩スタート。雨は上がったけれど浮かれた気分と長袖一枚だけでは、さすがに肌寒い夜。まずジョスが「気になってるお店があるの」と連れていってくれたのが、昨年オープンしたピッツェリア「BACAR」。

明るいガラス扉の作りで、天井がとても高く開放的。カウンタと少しのテーブル。かなりゆったりとした店内、調度品のセンスもすてき。入口すぐに釜があって、注文を受けるたびにピザ生地をのばして焼いていく。ピザのメニューはマルゲリータとマリナーラの二種類だけとシンプル。まずは白ワイン(モモちゃんはサングリア、ジョスはシェリー)と長ねぎのマリネ。ハチノスのトマト煮込みもおいしいの。満を持して焼かれたピザは、パリッとした薄めの生地とオイルらっぷりのソースで絶品。店員の男の子が濃い顔のハンサム、ギャングみたいでかっこよかった。色男がサーブしてくれるワインはうまいったらないね!

こちら、お店のトイレの壁に書かれたショップインフォメーション。ランチもやっています。そしてハタリはすでに赤ら顔です。

【BACAR】 沖縄県那覇市久茂地3-16-15 電話:098-863-5678 →☆お店のブログ

軽くおなかが安心したところで店を出て、県庁まで歩く。次はアイリッシュパブへ。

セントパトリックデーのお祝いで、店員やお客さんがみどり色のシャツを着ています。緑色のヘアスタイルのマダムもいました。店内ではアイリッシュバンドがハッピーな演奏をしていました。

それらしく気取って、ギネスを一杯のみました。

【The Smugglers】 沖縄県那覇市松尾1-9-1 電話:098-862-0124

「さ、次はディープ那覇へ」と、タクシーで栄町社交街へ。以前、渋さ知らズの沖縄旅で、はりきる川口隊長に連れて行かれたことのあるおでん屋「東大」へ。看板の灯りは消えているし、入口は暗いし、店内をのぞけないし、とても営業しているようには見えない。知らなきゃ、こわくてとても扉を開けられないって。ジョスはその後、順調に「東大生」としてこの店にときどき来ているそうです。

細長い店内はとてもにぎわっています。瓶ビールと、ミミガーとマメの刺身、おでん盛り合わせ、焼きてびちを頼み、畳のうえにあぐらをかいてのむのです。おばあちゃんやおばちゃんが元気なお店。

焼きてびちはモチモチしていてビールに合うなあ。強烈な脂の、すばらしい迫力。

「あー、大人になるっていいねえ」とモモちゃん。ほんと、今回の旅行ではそう実感するシーンがたくさんありました。

【東大】 沖縄県那覇市安里388-8 電話:098-884-6130 →☆「Okinawa Style」

まだまだ夜は長いけれど、日付がかわったところでまぶたが重たくなってきた。大人なのでおとなしくホテルに戻り、明日に備えておやすみなさい。


【ミスハタリの春陽南風旅 2009/03/14-17】
1 かしましディープ那覇 2 那覇「ナハナホテル」 3 那覇・のんきな猫散歩 4 浜比嘉島「ホテル浜比嘉島リゾート」 5 浜比嘉島・前篇〜波と光あるところ 6 浜比嘉島・後篇〜日なたの散歩