秋の日の奈良さんぽと「くるみの木」

大阪から東へ向かい生駒山の腹にあいた長いトンネルを抜けると、そこはもう奈良。生駒山には先日、宝山寺や山上遊園地に出かけたばかり。山のてっぺんには紅白のテレビ塔がいくつも立っていて、遠くからシルエットで眺めるのもすぐそばで見上げるのもどちら…

ミスハタリの虹と雪のバラッド 十一月の札幌旅

三泊四日で札幌へ。今年六度目の北海道はすでに紅葉もエピローグ、いつもより相当早い初雪が北風に舞う、冬の勇み足。育った家の裏手には、芝生、丘、池、砂場、運動場、野球場、アスレチック広場、相撲の土俵まで揃った大きな公園がある。小学生のころには…

ミスハタリの北海道凱旋旅 2 小樽さんぽ

札幌から小樽へ。気動車キハ天国の北海道でも、この区間は電化・複線路線なのでいまいち面白みに欠ける。見どころといえば、銭函駅を過ぎたあたりで海のすぐそばを走る景色(と、冬場に小樽築港駅のホームに停まっている除雪用の赤い電気機関車)くらいなの…

ミスハタリの北海道凱旋旅 1 札幌、中島公園の猫たち

秋の北海道は札幌小樽ニセコへ、旅をしていました。ふだん、社会のみなさんが勤労している平日にこっそり旅かばんを抱えて列車に飛び乗るミスハタリが、今年は珍しく暦の赤い数字が並ぶ連休に旅をしています。いや、これまでの定義でいえば「旅」というより…

夏と秋のさかい目の散歩 大阪玉造〜土佐堀〜靱公園

線路沿いでは朝顔のエンディングと曼珠沙華のプロローグが重なっている九月初旬、旅と散歩の記憶を整理していたら、まぶしかった夏休みを思い出しました。八月さいごの週末、名古屋でライヴを終えたあとに近鉄アーバンライナーで大阪へ。よそさまの庭先で木…

ミスハタリの南紀冒険 前篇:和歌浦の海辺にて

毎日が夏休みみたいな暮らしをしているくせに、カレンダーの赤い数字や休日の知らせには敏感で、一週間ほどのれんを片付けて「夏休み」に全力投球していたハタリブックスです。一年のほとんどを昼寝と悪だくみと旅に費やしている事情はまあ棚にしまいこんで…

旅人/散歩者のルール 大阪谷町〜中之島〜四ツ橋

午後三時を過ぎて暑さの峠を越えたら、眠った猫を起こさないようにして出かけます。大阪散歩者ビギナーらしくハナコウエストに載っていた地図を軽くあたまに詰め込んで、まずは玉造から谷町六丁目方面へ。玉造界隈のすてきなお店は以前「OSAKA東区スタンプラ…

ぜいたくでふつうの夏休み 2009 大阪プロローグ

今年は勢いあまってすこしぜいたくな夏休みをすごしています。ぜいたくなのは、猫とごはんと気分のもんだい。大阪では天ぷらの締めに紅しょうがが出てくること、淀川の花火は隅田川のそれとはずいぶん趣がちがって迫力があったこと、谷町界隈には気になる古…

夏の扉をひらく散歩

見上げた空、わたしの夏のはじまり。勝どき橋のうえから築地市場を望むと、もっと向こうには東京タワーが見えた。土曜の朝は早起きをして築地で朝寿司。外国からの観光客で混雑するなか、市場の大人たちとターレットは、ふだんと変わらない様子でブイブイ働…

六月、雨忘れの散歩(大阪・神戸)

六月の半ばからすこし長い散歩に出ていました。梅雨時期だというのに、あまり雨で悩むことのない日日。散歩と甘い記憶のメモランダム。 さいきん出会ったカワイコちゃん。『三好さんとこの日曜日』に出てくる「梅」という名の猫に似ています。 ご利益のある…

fresco みかん畑とガラスの遠足

花を生けようと花瓶を探すと、テーブルのうえに小粋なガラスの器があった。聞いてみると「fresco」というガラスブランドのものだという。くもりがかった色味、ふくよかなカーブ、絶妙なシェイプ、いっぺんに恋におちた。ほかにもグラデーションやマーブルの…

緑と坂のある町 〜 「OSAKA東区スタンプラリー」

週末の雨があがり、よく晴れた月曜日。大阪玉造にあるブックカフェ「beyer(バイエル)」に行きました。心地よいうわさをきいていたし、なにかの本でお店の様子を見たことがあったし、「きっと好きなところだとおもう」という声もあった。駅前からアーケード…

新版ミスハタリの北陸旅 4 海と絶壁と二三味珈琲

朝食後に宇出津をあとにして、時間の許すかぎり能登ぐるりの旅に出ます。まずは赤崎でいちご狩り。露地もののいちごがたった千円で食べ放題。ここの畑のおばあちゃんは、時間制限なんてセコイことは言いません。真っ赤ないちごをぞんぶんに頬張るしあわせ。…

新版ミスハタリの北陸旅 2 金沢〜居心地のよい町とすてきな大人たち

糸魚川駅到着後、名残惜しく写真ばかり撮っていたら、先のホームに「特急はくたか 8号」が到着。大糸線カップルに別れを告げて、12:54糸魚川駅出発。一応は進行方向に向かって右側の席をおさえておいたけれど、海沿いとはいっても、海岸と線路のあいだに道路…

人生をかえる本とコーヒー 〜【コーヒー篇】 吉祥寺「プチ」、渋谷「マメヒコ」、上野「王城」、日なたのコーヒー

ここにきて、人生におけるマストアイテムのひとつにコーヒーが加わりました。高校生のころに「放課後にすすきのミスドで耐久九時間、アメリカンコーヒーを七杯おかわりしたあとに帰宅して食べた焼鮭が弱っていた胃に直撃して一週間ずっとじんましんが出た」…

人生をかえる本とコーヒー 〜【本篇】 下北沢「気流舎」にて

できあがった座頭市本(「座頭市映画手帖 petit」)を手に「気流舎に行きたい」とひとりごちたら、ハーポ部長から素早いメッセージが届いたのは昨年末のこと。それからずいぶん日が経ってしまったけれど、ぽっかり空いた水曜の午後、はじめてそのドアを開け…

キコキコさんと「ウキキのメ」

いつもおいしいおやつを食べさせてくれる、キコキコ商店のチカフさんこと末木智佳子さん(id:abahiko)の日記で、「ちまちまおやつを食べながら作品を作る日々です。最近の大ヒットはウエストのジンジャータルト。ハタリさんからお土産で頂いて、本当に彼女…

あずき色の列車で「はにほへと」

東京で暮らしているものにとって、阪急の車両はやきもちをやいてしまうほどかわいい。あずき色の姿、ライトグリーンの椅子。そして阪急石橋駅の箕面方面行きのホームには旅の匂いがする。 桜井という駅で列車を降りたのは二度目。すこし歩いて「公認阪急桜井…

ミスハタリの春陽南風旅 3 那覇・のんきな猫散歩

沖縄の空は、昨日の雲のことなんてすっかり忘れて晴れわたっていた。陽射しがまぶしい、三月なのにすっかり南国の顔をしている。フロントに荷物を預けて、すこし薄着で町へ。国際通りに出てから公設市場の通りを進む。市場で立ち止まらずに、どんどん奥へ。…

ミスハタリの春陽南風旅 1 かしましディープ那覇

「あの子に会いに、沖縄に行こうか」そんなおしゃべりが出たのは、二月初旬の雨の夕暮れのこと。モモちゃんとわたしはハタリハウスでお茶をのんでいました。わたしたちは「ムー部」の部員だから、そろそろどこかに行かなくてはならなかったのです。ムー部と…

十月のミス・ビッグマウス

十八日に控えた「鬼頭哲ブラスバンド」の名古屋ホールコンサート「風光楽談宵噺」、舞台監督のアベタさんと打ち合わせ(これは十月十三日のこと)。百戦錬磨の「できる」話に勇気づけられ、気分よくそのまま新宿西口にある横丁へ。中華料理「岐阜屋」のカウ…

インプラントと「なぜかシュークリーム」

そろそろ十月の話をしましょう。春からつづいていた出稼ぎ(ハタリはときどき校正屋にもなります)を終え、フリーランス「ハタリブックス」の椅子に戻ったのが十月一日。さて、さっそくのんべんだらりと朝ねぼう〜と思いきや、昼前に歯科の予約を入れていた…

八月札幌夏仕舞 2 北の良心「キコキコ商店」

毎度おなじみ中島公園そばの、珈琲豆と豆本とCDのお店「キコキコ商店」。空間の居心地のよさと、おいしいおやつとごはんに惹かれて、札幌に帰るたびに訪れては何時間も長居してしまう一軒家。いい意味で「吹きだまり」になっていて、CDの品揃え(とくにオフ…

ミスハタリの道北旅 7 札幌「キコキコ商店」番外篇

道東を大回りした旅は終わり、本来の目的「里帰り」を果たしたとたんに大雪に見舞われた。列車で余市まで出かける用事があって、やったー、わたしの原体験(函館本線)に乗るのだーと思いきや、早朝から運休と遅れですっかりダイヤが乱れている。やかんを載…