ミスハタリの南紀冒険 後篇:熊野、森と川とパンダの夏休み

熊野の山道をくねくねくねくね走っていくと、熊野本宮のちかくに温泉がいくつか湧いています。そのひとつが湯の峰温泉。日本最古の温泉といわれており、ここの「つぼ湯」は熊野詣の旅人の疲れをいやし、いよいよ本宮大社にいたる直前の禊に使われてきた湯ごり場とのこと。世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道」の登録地にありながら、小川をはさんで十数軒の民宿旅館が身を寄せ合っているだけの小さな湯治場。派手な土産屋も売店もなく、目に留まるのは「くすり湯」と「小栗判官伝説」にちなんだ旗や看板。

今回泊まった民宿「あづまや荘」は、「旅館あづまや」の別館。浴衣姿で下駄を鳴らしながら本館へお湯をいただきに。お湯は含硫黄−ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉、源泉は92℃と高温! 源泉を加水せずに源泉を適温にした「さまし湯」がすばらしくて、やっぱり長湯。槇の木づくりのお風呂場は古めかしい雰囲気で、お湯はじわじわとからだに自然に染み込む肌なじみのよさ。お夕飯には鹿の刺身や鮎の塩焼き、朝ごはんには温泉で炊いた温泉粥や温泉たまごなどがおいしく、おなかも満足。

湯の峰温泉からしばし進み、熊野三山のひとつ、熊野本宮大社へ詣でます。

 

熊野本宮大社はもともと熊野川にぐるりと囲まれており、大洪水で流されたのち、いまの場所に移されたという。そのもともと社殿があった場所は、「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれ、大きな鳥居が目印。まわりの稲が夏の峠をつげていました。

本宮からの帰りみちに、今度は熊野川支流の大塔川で川あそび。真夏でも、山奥の川の水は冷たい。はりきって水着になって必死の形相で首まで浸かる。う、う、しびれる。でも気もちがいい。

水深があるので泳げる子はスイスイ、泳げなければ浮輪でプカプカ。鴨が子どもに追いかけられていたけれど、水のなかでは負けるはずもない。爽快なんだけれど、すこしでも陽がかげると、とたんにからだが冷えて震えてくる。ああ、今こそお湯がほしい! と、じつはこの川沿いは、石をどけて掘るとどこからでも温泉が出てくるという川湯温泉なのだ。すでに石に囲われている川べりの公衆露天風呂に入れば、川の水で冷えたからだがあたたまり、元気になってくる。元気になったので、また川であそぶ。小学生並みのはりきりぶり。大人の夏は短いから、ぞんぶんにたのしむのだ。昨夏、岐阜の郡上八幡で「来年は川あそびがしたい…」とむじゃきに水しぶきをあげる子どもたちを眺めながら思っていた(→ ☆2008/08/01 「ミスハタリ 水の旅」)のが、今年にもう叶ってしまった。うれしい。

川あそびのあとは山を下って南紀白浜を目ざします。淡水なので乾いたからだも爽快、水風呂に入ったようで、そのあとは涼しく過ごせた。くせになりそうな夏のレジャー。

南紀白浜は念願のアドベンチャーワールドへ。パンダのバックヤードツアーも魅力的だったけれど、昼間に思いっきり遊んだので、夕方からの入園。パンダ舎にまっしぐら、と行きたいこころを押えて、まずはホッキョクグマのごはん見学。

ホッキョクグマ、泳いでいるとかっこいい。上野動物園ホッキョクグマはいつも同じコースをウロウロウロウロしていてちょっと心配になってしまうけれど、ここのホッキョクグマはのんきなご様子。

そしてパンダ! 双子のチビッコ永浜と梅浜は、寝ていました。ぐー。

寝ているだけなのになぜこんなにかわいいのでしょう。あまりのキュートさに涙目でかぶりつき。テレビモニタで流れていた、双子が生まれてからいままでの様子の映像にも悶絶。もうすぐ一歳になるそうです。うー、いまもかわいいけど、もっと前にも見たかったー。

と、15分ほどじっと見つめていたけれど動きがない。と、別のパンダのごはんタイムになったので屋外へ。

 

だらしなーい、でもゆるしちゃう。
サファリワールドでたくさんの草食動物/肉食動物(路上でごはんタイムのヒグマが大迫力だった)を見てから、やっぱりまたパンダ舎へ。

あ、なんかちょっとかわってる!(ズルー、どてっ)

アドベンチャーワールドは想像していたよりも広大なレジャーランド。動物園だけではなく遊園地でもあるのです。大きな観覧車、なつかしさあふれるアトラクション。もちろんパンダの乗り物もありました。

 

で、あの子たちはどうなったかな、と、三たびパンダ舎に戻ります。

笹が出てるし、なんだか活発になっている(でも動きはのそのそしています)。

 

山、森、川、パンダ。夜が深まったら、わたしの夏休みもおしまいです。和歌山、まだまだ行ってみたいところ、見たいお祭、食べたいものも多い。今回は叶わなかったけれど、もちろん乗りたい列車だってある。また来たいところがまた増えた。



【ミスハタリの南紀冒険 2009/08/13-16】
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