六月、雨忘れの散歩(大阪・神戸)

六月の半ばからすこし長い散歩に出ていました。梅雨時期だというのに、あまり雨で悩むことのない日日。散歩と甘い記憶のメモランダム。


さいきん出会ったカワイコちゃん。『三好さんとこの日曜日』に出てくる「梅」という名の猫に似ています。

  • ご利益のある散歩。

 
毎月二十一日は「お大師さん」と呼ばれ、大阪の四天王寺には市が立つと聞きつけて散歩。聖徳太子が建立したという歴史の古いお寺の境内は古く、お参りと市の見物客で大賑わいだった。夏のような陽射しの下、大雑把に山積みになった着物や帯を引っ張り出したり、骨董や古い雑貨を眺め、かわいい小鉢をいくつか買いました。四天王寺近くの夕陽ヶ丘駅前にある「麦の花(→ )」というパン屋のコロッケパンがおいしかった。

  • はにほへとの散歩。


四月にあそびにいった(→ )、友人カーリさん(id:kaef)がときどき開くお店「はにほへと」へ。お店は七月二十四日・二十五日のイベント「はにろっく」で閉店するそうです。
 
持ち込んだ丸いケーキでお祝い(天王寺の「cake de co-ki.(→ )」というお店のケーキ)。カーリさんがおもちゃの鉄琴をたたき、はじめて会った女の子たちが歌ってくれたのがうれしかった。照れながらロウソクの火を吹き消すと、新しい年へのカウントダウンがはじまります。果物とクリームで飾られた、大阪でいちばんおいしくて甘いケーキの記憶。

  • 森を横断する散歩。


京都に向かうつもりで乗った環状線を途中下車して、大阪城公園に迷い込む。六月なのに雨にあたらない、夏日のようなお昼どき。木陰が涼しく、どこかから楽器演奏の音も聴こえてくる。
 
 
どこまでも歩けそうな気分になり、実際にずんずん歩いたら予想以上に広かった。

  • 静かなコーヒーを待つ散歩。


天満橋の駅前から大川を渡ります。桜時期の喧騒や華やかさはもう二ヶ月以上も前のこと。雨水を吸いこんで色を増した葉っぱが木陰を作っている。五月の「OSAKA東区スタンプラリー(→ )」で行きそこねたカフェ「喫茶星霜」で昼ごはん。日替わりカレーがおいしそうだったけれど、昨日たくさん呑んだワインで弱った胃をいたわって、BLTEサンドイッチとカフェラテをオーダー。
 
 
決して広くないお店は、気もちのよい静かさと午後の陽射しにあふれ、やわらかい時間が流れていた。男性が丁寧に珈琲を入れているのが、カウンタ越しの香りでわかる。帰りに訊けば、珈琲豆は谷町六丁目近くの「赤い実コーヒー」、サンドイッチのパンは鶴橋の「cocoro」(→ )のものを使っているそう。親近感がわくナイスチョイス。
【喫茶星霜】 大阪市北区天満4-1-2 天満佐藤ビル1F 電話:06-6354-3518

  • Will you be my friend? の散歩。


ふと思いついて、数日前「はにほへと」で出会った女の子に会いに芦屋まで。「Space R」という、カフェと雑貨ショップとギャラリーとスタジオが集った場所。その一階にあるオープンなカフェカウンタのなかで働く彼女に声をかけ、自家製ジンジャーエールでひと休み。そしておしゃべり。
 
「ほんとうに来てくれるとは思わなかった」と言った彼女に、うん、なんとなく、友だちになりたいなって思ったから、会いに行かなきゃって思った、と答えた。will you be my friend? って、そうそう、日記を書きそびれていたけれど、六月十三日にはSuperDeluxeでワッツタワーズのライヴを観たのでした(この日はウサギのなかには入っていません)。スペースアールを出たあとには、ご近所のパン屋「パンタイム」で厚いクッキーを大人買いして、ソフトクリーム休憩。「Space R」向かいの「アマレーナ(→ )」のケーキが美しくおいしそうでした。サーカス小屋を描いたパッケージデザインも洒落ています。

  • ひとめぼれの散歩。


芦屋を出て神戸は元町まで。海岸通まで出て栄町と呼ばれるエリアをふらふら。海岸ビルヂングにある器の店「草灯舎」で、ひとつの銀装皿にひと目惚れ。お店の方が「手にとってみてくださいね、安藤雅信さん(→ ☆「ギャルリももぐさ」)という作家さんの作品なんです」と声をかけてくれたので、お皿や器のこと、銀装について教えていただく。手仕事の微妙な歪み、マットな質感の銀、重さ、大きさ、いろんな角度から眺めてもやっぱりすてき。五月に行ったガラス工房「fresco」で手に入れた器もそうだけれど、食欲はつねに目の欲求ともにありたい。手にとってしばし悩んで、悩んで、そのうちきっと手に入れようとこころのなかでこっそり誓って、お礼を告げて店を出る。草灯舎、すてきなお店でした。
【草灯舎】 神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング206号 電話:078-331-9187

  • 地下の散歩。


地下鉄御堂筋線の心斎橋駅のホームは、わたしが知る日本じゅうの地下鉄ホームのなかでもっともかっこいい。世界となると、いまのところモスクワの地下鉄の駅と五分だ。どちらも天井が高く、多少乱暴なくらいに勢いよく列車が走り込んできて、乗降客が多い。モスクワの地下鉄駅はエスカレーターがおそろしく速く、心斎橋駅のほうが照明がかっこいいように思います。


すこし長い散歩をしているうちに今年も六月二十三日がやってきて、ひとつ大人になりました。相変わらず幼稚で甘く根無し草で放浪癖のあるミスハタリですが、叱咤激励、ラブや冷やかし、アルコールやティータイムのお誘いなど、お付き合いのほどよろしくお願いします。あ、お仕事(文筆、編集、企画、踊る、そのほか)だってがんばるよ!


ミスハタリ拝 2009/06/23