人智

宇宙日本世田谷の欠けた太陽と、平岡正明さんのこと

日本の陸地で四六年ぶりとなった皆既日食。午前十一時をすぎたころ、世田谷区明大前あたりから見上げた空はくもっていた。月が太陽をすこしだけ食べてしまった時間。クロワッサンみたいな太陽だった。 七月九日の夜中に平岡正明さんが亡くなった。その葬儀の…

平岡正明『ジャズ宣言』

一昨日の夜、風呂上がりの部屋にはなかなか風は通らなくて、灯りを消してカーテンを開けた。その夜は奇妙なまでに丸い満月だった。数時間前、港町のまだ高いところに浮かんでいたそれは、ななめ下まで落ちていた。汗が引くのを待たずにカーテンを閉める。や…

神田川の桜、アースダイバー

桜が散る間際のにちよう日、メンチカツを頬張りながらお花見気分で杉並から武蔵野まで神田川沿いを散策。足元では犬がうらやましそうに見上げていた。ちょうどこの川沿いのコースは中沢新一『アースダイバー』(講談社)の第一章でも触れられている、縄文時…

南方熊楠の見た夢「クマグスの森展」

晴れた日の正午過ぎ、新橋から乗った地下鉄銀座線の車中、不意と思い立って外苑前駅で下車し、すこし散歩をしようと思った。だって天気がよかったから、そして時間が溢れていたから。昨年知り合った面白そうな人々の事務所が外苑前にあると言っていたなと思…