2004-01-01から1年間の記事一覧

部屋の明かりを点けたままちょっとそこまで出かけた夜半過ぎ。振り返って我が家を見上げたら、なんてこったい! ベランダ窓のすだれ越しに部屋の様子が丸見えだ。つまり真夜中の美容体操をする姿も影絵になっていたということ……と全く同じ話を向田邦子のエッ…

蚊取り線香を焚いたら六畳間に夏がやってきた。畳も蒲団もそこで眠る自分のからだも夏休みの匂いがする。中央線で目の前に立っていた女子高生がおもむろにキンカンの瓶をとりだして首筋に塗っていた。よく晴れていた空がとつぜん灰色に濁り出し、ベランダの…

新宿で水着と扇風機を買う休日のはずが、湯河原の温泉で雨上がりの青空を見上げていた。かんたんな話だ。昨夜観た「最長片道切符」の影響にきまっている。さらにその前夜の、上野駅でもよおした突発的旅心もこの伏線だったのだろう。しかし、久々の列車ミニ…

雨に閉じ込められてこのまま家で眠っていたーいという気持をふりきって夜の外出。畑違いのックラブイベントにッひとりでいくだなんてッ!と足掻いたら、渋谷で元気な男の子ふたりを捕獲成功、突如明るい光がさしこんだ。昨日オープンしたばかりの新しいクラ…

あたまにくるとすぐに「義理」とか「仁義」とか「マゴコロ代」とかいう言葉が口をついて出てくるのは中野武蔵野館通いで観た任侠映画の刷り込みなのかもしれません。東京に雪が降って熱燗がよく売れた夜、ハモニカ横丁ではNHK朝の連続テレビ小説のロケが…

川島雄三『洲崎パラダイス 赤信号』(1956/日活)。名作であるのはもう知っているがやはり何度観ても、最初の橋の上のシーンの新珠三千代の髪がほつれてやさぐれた風情といい、遊女と逃げていった夫を十年も忠犬のように待ちつづけていた中年女の轟夕起子が…

下北沢通いの日日。シネマアートン川島雄三特集上映で『貸間あり』(1959/東宝)と『幕末太陽傳』(1957/日活)。大阪の下宿宿でも、幕末品川宿の遊廓でも、マルチな才能と軽やかな動きと喜劇に昇華できる色気で、フランキー堺は時空をこえて男も女も魅了す…

どうやら風邪をひいたようだ。喉がイガイガしてひゅうひゅうと鳴る。宵の口にスクリーンで川島雄三と思っていたけれど、映画館の室温を考えて今夜は自粛し直帰。風邪の初期症状は、あたたかいのみものと果物チャージと睡眠で治すにかぎる。ミルクチャイと甘…

台風の余波で音を立ててて揺れる東京。宵と呼ぶにはすこしばかり過酷で闇というにはぬるく間の抜けた、嵐の午後八時。市川りぶるで佐々木彩子さんと不破大輔さんのデュオを観た。クーラーで冷えた席で紅茶をのみながら目撃した、汗だくの演奏。「ずぶぬれサ…

朝から美女三昧。大映のオムニバス映画『女経』を観ながら朝食。美しくて金にがめつい女三人のすこぶる健全な映画。バアに勤めて客を誘惑し金を巻き上げるだけ巻き上げて絶対にヤらせない若尾文子が、稼ぎのほとんどを株に投資しては「あたしお金大好きよ。…

四方田犬彦・斉藤綾子『映画女優 若尾文子』(みすず書房)を読んだ流れで、幾度目かの若尾文子ブームがやってきた。川島雄三監督の『しとやかな獣』(1962/大映)は、若尾文子の色気としたたかな強さにクラクラしながらも、新藤兼人ならではの状況をうまく…

ソフィア・コッポラ『ロスト・イン・トランスレーション』を観た。 こんなに感想を述べられない映画はひさしぶりだ。窓口で払った千円の行方を考えると悲しくなる。文章のうまい思春期時分の少女の日記帖が机のうえに開かれていて、それをこっそり読んでいる…

金曜の午後三時、銀座メルサのインド屋で五つ星シェフが作るゆで玉子カレーという、豪勢なのか庶民派なのかわからないが美味いルーで大きなナンを平らげて、週末カレーマラソンが開幕。セロリニンニク玉ねぎを炒めてあれやこれやと用意して、土曜深夜に、玄…

Y氏の月曜映画史講義。ハリウッド以前にフランスが隆盛を誇ったアニメーション映画とドタバタ喜劇について。リュミエールの『水を撒く庭師』、エミール・コールの『かぼちゃレース』など、役者となった大道芸人たちがからだをはってバタバタ動く。一方、エ…

「ベランダ園芸部2004」本格始動。サングラスにランニングシャツで井の頭通りを自転車で飛ばして環八高井戸オリンピックまで遠征。茄子部の規模拡大に加えて、パクチー、細ねぎ、青じそ、ししとう、パセリとトマトのりりこちゃん。苗や資材や肥料を買ってき…

夜になって、マンダラセカンドで渋さ知らズ劇場。語弊があるといけないのだけど、十人ほどの今夜の編成は、まったく無駄のないハイクオリティな人選だった。そしていつもの中編成バンドとはやや趣きが異なったライヴ。途中で大沼ブルースに移行するのかなと…

六本木スーパーデラックスで「Abu Dhabi ver.03」というイベントへ。面白くてカッコイイひとたちが集まりシャッフルされて即興演奏し、たくさんの音楽が目と耳でたのしめたゆたかな午後。ALTERED STATES、さっそく口が半開き。内橋和久さんのギター、ナスノ…

会いたいひと、憧れているひと、仲良くなりたいなと思っているひととは、そのうちに近くに行ける気がしているし、幸いなことに昨年あたりからそんな出会いが続いている。たとえばY氏の一日かぎりのワークショップの日に教壇に駆けつけて以来恐れ多くもはじま…

休みの日なのに七時に目が覚めるとなんだかもったいない気がして起きて早々にふとんを片してしまって昼過ぎにちょっとだけ後悔する。ピアノを弾いて唄って満足して家を出たら町はもう夕暮れだった。電車で渋谷に出て円山町の「円盤ジャンボリー」にいくつも…

よく晴れた休日、銭湯不良少女の旅心は朝も早から疼きだす。午前八時の「ホリデー快速おくたま号」に乗り込んで奥多摩へ逃走。午前中いっぱい渓谷沿いの「奥多摩いなかみち」を三時間ほどハイキング。渓谷の吊り橋の真ん中で気を失いかけ、風景を眺める余裕…

四月の終わりのころ。ハタリハウスの「連休カレー」キャンペーンがはじまりました。つまりコンロの上につねにずん胴鍋があるという塩梅。これが一週間つづくのでカレーマラソンといいます。テアトル新宿にて『タカダワタル的』鑑賞。高田渡さんありきで面白…

先々週のY氏の月曜映画史講義で冒頭のシーンだけを観た、『オーソン・ウェルズのフェイク』(1975/イラン+仏+独)。改めて観通した全篇約九十分、ハー!と感嘆符ばかり頭に並ぶ器用で愉快な映画。「ほんとうのはんたいのはんたいのはんたーい」と言ったのは…

ベランダ園芸部、休日の夕暮れにパクチー(香菜)と万能ネギの種を蒔きました。秋蒔きのソラマメはプクプクした実を三つぶらさげ、ミニ人参は引っこ抜いてみれば生意気にも人参の姿と味をしています。真夜中と早朝二度に分けて、風煉ダンスの公演ビデオ『犬…

今週のハタリハウスビデオ鑑賞状況。三隅研次『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972/東宝+勝プロ)は、足首手首とみれば斬り落さずにはいられないショーアップされた殺陣やボンドカー化した乳母車の装備の馬鹿馬鹿しさや映像を二重に重ねて妙に官能的に仕上…

今週の浅草東宝オールナイト興行は黒澤明脚本作品四本立て。午後九時からと浅い時間に始まるというので化粧っけのない顔にメガネをかけて出掛ける。午後九時の浅草六区、小便臭い映画館には娘と呼べるのはわたしの他いない。エスカレーター下では早速親爺さ…

肉と酒と愉快なお喋りと健康ランドのために電車に乗って海辺へ遠征。その天然温泉健康ランドの名物は「ロウリュ」というサウナだという。のぼせ体質ゆえにサウナは苦手だが、やっぱり名物は気になるなあと肌を真っ赤にしてサウナのなかで待っていると、スタ…

田中徳三『第三の悪名』(1963/大映)。悪名シリーズでは宮川一夫の映像美がそれほど目立たないなと思っていたわたしが馬鹿だった。緑がかった薄闇と色濃い影のコントラスト! 新キャラ、戦争帰りのインテリやくざ(兵隊時代、朝吉の上官だった)に長門裕之…

『喜劇 女は男のふるさとヨ』からちょっといいことば。 - 村枝ねえさんは、アンタにはおかしな踊りを才能があると言って褒めてくださいました。 「いいかい、ちゃんと基本を身に付けた上でコミカルに踊るんじゃなくっちゃゴマカシなのよ。ゴマカシはいつも手…

近況。ヨーグルトとバナナと豆乳をミキサーで混ぜたものをのんで一日をはじめています。京都有次に砥ぎに出して以来、野菜を叩き割るかのごとくストレスフルだったまな板生活が、愛用包丁帰還でようやく快適ライフに元通り。うれしいったらないね。イカをさ…

今年は七年に一度の御柱イヤーと聞けば祭好きの血がさわぐ。信州諏訪大社の御柱祭。加えて今日は「青春十八きっぷ」春シーズンの最終日でもあるのだった。行かない理由がみつからない。疑問なしに朝七時半の中央線に乗りこんだ。片道四時間かけて下諏訪へ、…